番外編:井上円了生誕の地

この三連休を新潟の親類の家で過ごしたのだが、帰途長岡インターで高速を降り長岡市の慈光寺を訪う。

慈光寺
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(このページの画像はクリックして拡大して見ることができます)

「安政五年戌午二月四日。越後國三島郡來迎寺村、大字、浦、慈光寺に生る。」(『甫水井上圓了先生譜略』)
現在は長岡市浦。甫水の號はよく知られているように“浦”の偏と旁からとったものだが、他に“非僧非俗道人” “四聖堂” “不思議庵” “妖怪窟” “不知歌斎” “無芸庵拙筆居士”などとも號したそうだ。



参道にある“井上圓了先生誕生の地”碑画像




















本 堂画像




















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「余幼より世人とその好悪を異にし、人の楽しむところにして余かえってこれを憂え、人の憂えるところにして、余かえってこれを楽しむ。ゆえをもって、その旧里に在るや、同郷の児童と共に遊ばず。およそ児童の楽しみは飲食遊戯のほかに出でずといえども、余の楽しみはひとり然らず。出でて江山の間に入れば草木の森々としておのずから鬱茂し流水の悠々として去って帰らざるを見、心ひそかに怪しむところありて家に帰りてその理を思う。これを思うて達すること能わざれば、ひとり茫然として自失し、幸いにその理に達すれば微笑して自得の状を呈す。これ余が衆と共に群せざるゆえんなり。長じて学を人に求るに及び、一見一聞、みな余が感を惹起し、日夜黙座して、ただその理を思うのみ。」
(『仏教活論序論』筑摩書房:現代日本思想大系7「仏教」所収より)


円了はここから同じ三島郡の隣村、池津村にあった蘭学医石黒忠悳の寺子屋に通い漢籍を学んだ。
井上君が初めて、余の家に來る様になつたのは、確か文久二三年の頃のやうに思ふ。恰度其時分は余が鄕里で塾を開かうと思って、學童を集めて居た時なので、井上君も其時に來た一人なのだが、隣村浦村の慈光寺といふ大谷派の寺の子で、其時分の名は龔常と云ってゐた。さうだ年はまだ八九歳であつたらうが、中々學才の有る兒で、余は其頃國史略を讀ませ又之を講授したものだが、幼少乍ら理解も良く歴史の事實の記憶も確かなもので、自分の設問に對しても何時も明確な答へを爲たものです。
尤も余の鄕國新潟縣と言えば、人も知る天下に有名な雪國、其降り方は實に夥しい、特に大雪の日などは、これでは迚もよう來まいと思うていると、戸の外でコツコツ下駄の雪を落とす音がする、すると家内が「大かた來たのは井上でありませう」
と果してさうである。斯様に雪の日も雨の日も一日も休まずセッセと通うて勉學したものでした。
處が或日の事、途中で下駄の鼻緒を切ったと云って、手に提げて來たから、家内が其の花緒を修繕して遣り乍ら
「全體下駄の緒はどの邊で切れたのだね・・・」と訊くと
「家を出ると、すぐ間もなく切れました・・・」
「それなら何故家へ戻つてすげて來ませんでしたか」
「餘程戻ってスゲて來ようと思ひましたが、それでは時間が遲れますから・・・・・・いつも先生から、時間は必ず正しく守らねばならぬと教はりましたから・・・・・・其儘上がつたのです・・・・・・・・」
かう云ふ話で家内も非常に感心したものです。
(『井上圓了先生-伝記・井上円了』所収の「感想-石黒忠悳」より)


本堂のほかは小さな鐘楼があるだけの質素な寺であった。

慈光寺から車で数分、越路河川公園へ向かう。


井上円了頌徳碑
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こちらは思っていたよりも大きく立派な碑であった。基壇の部分も入れると高さは五メートル近くありそうだ。
この頌徳碑は昭和三十二年、東洋大学創立七十周年を記念して越路橋のたもとに建てられたのを昭和六十二年の百周年の際、近くの越路河川公園に移設したそうだ。


側面に刻まれた井上円了略歴
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百周年に建てられた記念碑画像






















周辺にはこれといった観光名所もなく、河川公園ではゲートボールを楽しむ地元の方々の姿があった。
ここから小千谷インターへ向かい再び高速道へ。長閑なひと時を過ごした越後路の秋の旅である。


詳しい地図で見る
(野球場のある所が河川公園。航空写真に切り替えて拡大(+)して見ると、センターとライトの中間辺りのところに頌徳碑がある。上方にスクロールしていって線路を越えた集落の中の墓石が並んでいるところが慈光寺。本堂の裏手に当たる。)


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